10年後の始まり

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瑛梨華を見送り職員室に戻ると、机の上にカップケーキと置き手紙がある。 『橘 先生へ 部活で作りましたので良かったら食べて下さい。後でお皿を取りに来ますので、感想を貰えたら嬉しいです。2ーE 料理部 千葉穂浪(ちば ほなみ)』 「耀妃先生、おかえりなさい。さっきうちのクラスの穂浪が置いていきましたよ。耀妃先生ご指名みたいです」 と話しかけてきたのは、2ーE担任の榊原 恵実(さかきばら めぐみ)。同じ国語科の教員で、耀妃より10才上の先輩だ。耀妃が頼りにしている先生でもある。 「榊原先生、お疲れ様です。穂浪が私にですか?」 「えぇ。今回は生徒があげたい先生に作るっていうようにしたんですって。もちろん全員の先生方に回るようにはしたみたいだけど、穂浪は真っ先に耀妃先生がいいって言ったみたいよ。私も智乃(ちの)から貰ったわ」 と穏やかに笑い、耀妃の隣の席に座った。 「智乃は榊原先生が大好きですからね。もちろん智乃だけじゃなくて私もですけど」 「あら、嬉しい。私も耀妃先生のこと好きよ?なんか可愛い妹みたいな感じがするわ」 「頼りにしてます、榊原先生。私お茶煎れてきます。先生は何が宜しいですか?」 「じゃあ紅茶がいいかしら。頼んでいいの?」 「もちろんです。少々お待ちください」 2つのカップに紅茶を煎れて持っていき、自分の席に座った。 「耀妃先生、ありがとう。そうそう。智乃ね、南教育大に行きたいみたい。」 「南教育大学ですか……。榊原先生も南教育大学でしたよね?」 するとにっこり微笑んだ 恵実が 「そう!だから、よ」 「なるほど……智乃は榊原先生と同じ道をいきたいんですね」 「そうみたい。私も進めたわ。智乃が決めたことだから」 「そうですか……。智乃、成長しましたね。入学当初はどうなるかと思いましたが」 すると恵実も懐かしそうに笑って 「そうねぇ。あれから2年なのね。」 と昔を思い出すように微笑んだ
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