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曇天の空、満月が見え隠れする薄暗い夜
昼は車の渋滞でスモッグが立ち込める表通りも今は車1台走っていない
それどころか人っ子1人見当たらない
まだ日が沈んで1時間も経たないというのにこの光景
はっきり言って今のこの街は誰の目から見ても異常、この言葉に尽きる
「はぁ……」
しかしそんな中にも例外はいるわけで
『……ザ……ザザッ……』
「あら?壊れたかな」
明かりはついているものの誰もいない、まさしく無人駅と化した駅前の大きな広場の噴水に、1人の男が腰掛け脇にラジオを置きチャンネルをいじっている
「ん~、寿命なのかなぁ
まだ3年しか使ってないのに」
男はラジオを手に取り故障箇所が無いか点検する
「とりゃ」
ガンッ
細身のその男は気合いの入っていない掛け声と共にラジオを軽く殴る
すると
『ブツッ……は次の……スです』
何とかラジオが繋がった
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