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「まず名前!名前教えて?」
「…俺の名前はルミネ
ヨハネス王国の王子として育てられた」
「よはねすおうこく………?
…シンデレラってそんな所に住んでたんだ…」
「それで十六歳になった俺はそろそろ婚約者を決めろって言われて…さっきパーティーが開かれた
誰もいい奴なんかいない
全員俺に媚をうる女ばっかりだって退屈してたら…
途中から…すっごい綺麗な人が現れたんだ…」
ルミネの目はハート
意気揚々と話し続ける
「それでずぅっと踊ってたんだ
まさに夢のような一時だった…
…でも」
突然がっくりと肩をうなだれ泣きはじめるルミネ
ズーンと効果音が聞こえた気がした
「そ、その人…っじ、12時の鐘が…なる、前に…っ逃げちゃったんだよぉぉぉ!!!!!
呼び止めても無視!急いで階段駆け降りて…行っちゃった…
ただ硝子の靴がそこに残ってたんだけど…
なぁなぁなぁ!!!どうしたらいい!?どうやったらまた会えるんだぁ!!???」
涙で濡れた顔でずいっと体を乗り出すルミネ
…男のくせに…ピーピー泣いて
こんな奴をどういうんだっけ?
うーん…
「なぁ姫乃!聞いてる!?」
「聞いてるよ!ってか何で私に聞くの!?おかしいでしょうが!おとなしく話しの流れに身を任せてろ!!!」
「………え?姫乃だからだよ…
姫乃だから会いにきたんだ」
「はぁ?」
「なんかな、魔女の婆さんに
『この絵本の主、立川姫乃に会いにゆけ…お前さんの悩みを立川姫乃は解決するだろう』って言われたんだ」
魔女?あぁお話だから何でもありだもんな
でもおかしくないか?
「魔女…?あの、親切な魔女の事?」
「違うと思う
優しくないぜ?あのお婆さん
確かこないだ隣の国のお姫様に糸車で刺されて死ね!っていう呪いをかけたって噂が…」
「えぇぇーーーーー!!!??それ悪い魔女じゃん!眠りの森の美女の!
あんたの国の魔女かよ!!!
しかも信じていいわけ!?そんな魔女!!!」
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