学び

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私は、毎週土曜日が楽しみでしょうがなかった。土曜日は、子供達を母に任せ、朝から学校へ出かける。長女を授かってから、仕事以外で外の世界へ触れることは、無かったが、子供達の成長とともに、母親の助けもあり、少しづつ外へ出ることが許されていく。 学校は、得に新鮮だった。社会人が通うスクールだったので、木曜日の夜と土曜のお昼間のみの授業なので、内容は凄く凝縮されていて、ハードではあったけれど、新しい世界にいつもワクワクしていた。何より、担当の講師へ憧れを持っていた。私にデザインの魔法を教えてくれた女性。年配の女性で、アナログな手法が主流だったときから、この仕事をされている。 私は、現在の職場で、デザインやDTPのことが、少し必要になったことがきっかけで、興味を持ち入校した。 絵心もない私が、出来ると確信したのは、この人のおかげ。デザインのセンスとは、美しいが全てではなく、思いやりが全てだと教わっていたからだ。クライアントへの思いやり。見る人への思いやり。商用デザインだから言えることかも知れないが、その証拠に、素人の私が 「これ、何か違うな」なんて一言言えば、先生が簡単に手を加える。 「読ませたいなら、このくらい文字の間隔開けた方が読みやすいでしょ?」 全体のレイアウトを見たときの変わり様が面白い。 デザインが本来あるべき形を丁寧に教えてくれる先生だった。
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