学び

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時子の働くショッピングセンターの最上階にあるレストラン街でランチをする。 昔からの食の細さも変わらず、ランチの楽しみであるオカワリ自由のパンもオカワリしない。 自由なのにオカワリしない人初めて見た...と心の中で呟く。 カウンターには次々と焼きたてパンが並べられていく。新しい種類のパンがないか、気になるが立とうとすると、ジロっと見つめられる。 食べすぎに注意しろと言う親友の思いやりだ。素直に聞くことにした。 近況を話すには時間が足りないのか。離れていた時間が長くて何から話せば良いのか解らず、でもそんなことは大体で良かったりもした。 だから話がよく飛ぶ。 それで良い関係。 改めて、時子を思う。こんなに真っ直ぐで純粋な人がこんなに近くにいたことに気がつく。離れていたといえ、その時々の状況も知っていたし、連絡は結構とっていた。ただ生活パターンが違ったので会うことが昔より減っていただけ。 お互いに、社会人になり、色々な人をみてきた。良い悪いの問題ではない。ただ基準や価値観が皆違うことが、当たり前になっていた。そんな人達に囲まれた暮らしに不満があったわけでは勿論ない。ただ、時子とはあまりにも似ていたことに気がつき、感動した。 高校生活を長く一緒に過ごしたからだと思う。色んなことに対する位置付けを自分の中で行う、人格形成最後のときかもしれない。 あの頃の私達は、裏表のある人が凄く苦手だった。ストレートに生きていた。そこのポリシーが無意識に強かった気がする。
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