学び

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今日は、スクールよりも少し秀の家寄りのカフェで、勉強をすることにした。 午後5時を過ぎた頃、秀から電話が鳴った。仕事が終わったにしては少し早い時間だ。 「お疲れ様~」元気な口調で電話をとる。 「おぉお疲れ!ごめんな~もう少しかかりそう。まだ神戸だから~。今さ電話、時間大丈夫?」 何かを思いたったかの様子の秀。もうすぐ会うのに?と思いながら 「うん、平気だよ。」と秀の話を聞きはじめる私。「最近さ、毎週日曜日に葵んところ入り浸っちゃってるけど、ダメだよなって思って。」深刻に話し始める秀。 私も聞いた瞬間にピンときていた。何処かで引っ掛かっていたことだから。子供達と秀は、毎週日曜日を一緒に過ごして良い関係だとは思わない。私の子供達は、自分の父親を知っている。それは離婚をするとき、決めたことだ。子供達は自分の父親の背中を見ていく権利があるし、良くも悪くも知っているべきだ。だから、親子関係を絶つつもりはない。というのが私の考えであった。 「うん。私も気になっていたんだ。言いにくいことを言わせてごめんね。」秀に感謝を込め、謝った。 「夜、話そうな」今夜会ったときの課題を残し、電話を切る秀。 きっと今ここで秀がブレーキをかけていなければ、大変な方向にいってしまったかもしれない。 秀は子供を育てたことは無いけれど、やはり大人だと思った。 そして、私は秀との終わりを感じていた。秀は寂しがりだ、ということは過ごした時間の中で知っていた。週末も一緒に過ごせない私で良いはずがない。腹をくくっていた。恋人との別れは、二週間もすれば落ち着きやがて忘れていくものだ。過去の恋愛別れの経験から、そう難しいものではない、と思っていた。
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