学び

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水曜日の帰宅後は凄く忙しくなる。 一人暮らしの秀が水曜日の夕食を楽しみにしてくれているから。普段はレシピなんて見て夕食を作ることは滅多にないが、秀が来るたびに新しいメニューに挑戦する。 秀は食べるスピードが速かった。見ていて嬉しくなり、作り界がある食べ方をする。 一人暮らしが長い秀にとって手の込んだ料理は貴重なものらしい。得に鶏肉を使った料理を好んでいた。 私は沢山の量を作る。そして、お弁当に入れ、ご飯を小分けにし、ラップに包んだり、夕食やお弁当と別でお鍋にいっぱいのおかずを作ることもあった。それらは、朝に秀が帰る時に持ち帰り、小分けのご飯は冷凍しておく。秀は全く家事をしないわけではない様子ではあるが、仕事が忙しいと家事どころでは無くなるようだ。 そんな小さなことにも秀は凄く喜んでくれる。それが私は幸せだった。 秀は営む会社に数名従業員の人に来てもらっていた。私が嫉妬しそうになるくらい秀はその人達を大切に思っていた。夏になれば大きな鍋で皆の分のお茶を沸かし用意して出勤する。朝ご飯も用意したりしていた。仕事のことはよく分からないが、秀がその人達に感謝の気持ちをいつも持っていることは、秀の行動を見ていて分かった。水曜日に気合いが入ってしまうのは、秀のそんな姿から学んだことが多かったからだった。
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