ハジマリ

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子供達は、既にお友達だった様子で、絡みはじめた。 「少し家に遊びにおいでよ?」と綺麗なお母さんの言葉に甘えるように、お邪魔することになった。「私、奈々子。」年上の女性らしくリードをして、進めてくれる。「葵です!よろしくね!」同じ境遇ということもありか、しょっぱなから飛んでくるこんな質問 「カレシいてるの?」子供を通じて知り合った仲でこの手の話は、かなり探りを入れてからでないと、中々できないものだ。ただ、私も奈々子も既に同じ匂いを感じていた証拠に、何の違和感もなく、会話が進む。 「どうかな?そうなりそうな人は最近、居るけどマダわかんないや~」秀の顔を思い浮かべながら、話す。 「カレシいてるの?」奈々子に聞き返す。 「私、前からここに住んでるけど、離婚したところの。」 奈々子は、実家もこの団地で、ずっと住んでいるそう。 私は、離婚して実家が近くにある地元のこの団地へ引っ越してきて、一年。団地の中では近所付き合いがまだ無かった。そんなことも、独りの身なら気にはならないが、子供がいると、やはり周囲は気になるし、付き合いもしておく必要があるので、ずっと気になっていた。「ここの団地のこと、色々教えてね!」 奈々子は、私より2歳くらい年上かな?と思っていたが、実は5歳も年上だった。スラっと細く背が高く、透き通る様な白い肌。とても子持ちには見えない。そして、優しい話方をする。心がそのまま仕草に表れた様な、人を惹きつける女性。 それが、奈々子とのハジマリ。
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