ハジマリ

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いつも通り家に戻り、子供達と夕食を済ませ、寝かしつけ、午後11時頃、秀がきた。 私の住む棟の下へ車を止め待ってくれている。 極力、音を立てない様に鍵を閉め、秀の車へ向かう。 缶コーヒーを渡され、世間話が始まる。 覚えていなかったら恥ずかしいな。と思いながら、恐々と秀に聞いてみる。 「あのさ、この間焼肉屋さんで、よくその歳まで、純粋にこれたなって言ったよね?覚えてる?」 「覚えているよ。」その言葉に、緊張が和らぐ。 「どこが?って思って気になってたの。それなりに、汚いこともしてきたし、見てきたしね、それてない訳ないんだけど?」抱えていた疑問をぶつけてみる。 「壁を作らんかったからだよ。」壁?「壁」を意識したことは、確かになかった。結局、よく理解は出来ないまま、疑問は、解けないまま。 「きっちりと、会って言おうと思って来たんだ。」と次の展開を切り出す秀。 「付き合おうっか?」と言葉と同時に、目の前には秀の顔があった。 「うん」と一言。自分が恋愛をする。秀と私が恋愛をする。山の様にある問題点に薄々気がつきながら、気持ちのままに、ハジマル。
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