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4人で食卓を囲み、夕方から温泉へ出かけた。車で15分、北へ行けばそれなりの街に出れる。30分南へ行けば、ポツポツ家があるくらいの田舎まで行ける。そんな街と田舎の中間地点に私の家がある。
秀の家は車で40分程北へ行ったところにあるが、アウトドア派な秀は、この辺りの土地勘が結構ある。今日は南へ30分程行った山の中にある温泉へ行くことにした。
もう、日が暮れ始めていた。
きっと、一人でこんな時間に絶対通らないだろう山道を通り、温泉へ行く。帰りに温泉の近くの食堂へ美味しいと絶賛し、連れて行ってくれる。山道を走っているとポツポツとありそうな食堂。
「うどん、食べてみて」と秀に薦められるまま、おうどんをオーダーする。一見、麺が手打ちという訳でもなさそうな普通のおうどん。でも、本当に美味しかった。美味しい理由は、凄くシンプルなこと。
”水のチカラ”
「わかった?」微笑を浮かべ、私が食べるのを見届ける秀。
「うん。きっと店主は、特別なことをしているツモリもないんだろうね!」
何だか、凄く感動した。ただ「イイ!!こいうの」と思った。
これが、最初に秀から教わったことだった。離婚後、田舎よりの不便な地元に住むことには、抵抗があったこともあった。この時、この歳にして、自分の地元を見直した。
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