ルウ

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そうして、約束の17時。 直樹はまた産婦人科に足を踏み入れた。 診察に入り、石川医師と向かい合わせに座った。 石川:『遅くなりました。 どうされましたか?』 直樹:『実は、妻の様子が最近、おかしいんです。 子供の事に異常に敏感になってるっていうか、 必要以上に執着してるみたいで。 家でボーッと考え込む事が多くなってるみたいで。』 石川:『そうですか。 良いですか、ご主人。 女性は子供を産めない、 授かりにくい体質だと宣告された時、ご主人が思ってる以上に、ダメージが大きいんです。 自分のせいだと、自分自身を責める様になり、 結果、リストカットする人も少なくありません。 そんな方には心のケアが必要になります。 もし、明後日の17時以降に、お時間がありましたら、奥様を連れて来て頂けませんか? 少しお話しを伺いたいので。』 直樹:『解りました。』 そう言って立ち上がる直樹に、石川医師は付け加えた。 石川:『あまり奥様に、 「気にするな」と言う言葉はおかけにならないように、心がけて下さい。 その言葉が余計にプレッシャーになる事もありますから。』 そうして、直樹は自宅へと帰った。
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