北山 菊&三枝 ルウ

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ルウ:『あの・・・。 聞いて欲しい事があるんです。』 菊:『何かしら。 何でも話して頂戴。』 ルウ:『実は・・・。 私、妊娠しにくい体質だと診断されたんです』 菊:『うん』 ルウ:『私は直樹との子供が欲しくてたまらないという、願望が強くなればなる程、自分の身体が憎くて仕方ないんです。 直樹も本当は子供を望んでいるはずなのに、 私が悩まない様に口には出さない。 でも逆にそれが辛い。 私が悪いと責め立ててくれた方がまだ良いのにって。 でも彼は責める事をしないんです。』 ルウはそのまま俯いてしまった。 すると ギュッ 菊はルウをそっと抱きしめた。 菊:『辛かったわね。 1人で抱え込んで・・・。』 菊は瞳に涙を溜めていた。 菊:『ルウちゃん。 でもね、直樹さんを頼らなきゃ。 直樹さんだって貴女の力になりたいと思っているはずよ。』 ルウ:『でも・・・。』 菊:『でも・・・何? 頼ったら嫌われるとでも思ってる? それだけの夫婦なの? 違うわよね? ルウちゃん。 私にも過去があるの。』 そう言うと菊は一息つく。
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