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どのくらいの沈黙が続いただろう・・・。
漸(ヨウヤ)く、菊が口を開いた。
菊:『今まで、黙っていてごめんなさいね。
私達は、貴方の名前を付ける権利だけはどうしても欲しかった。
だけどね、唯一、貴方の苗字の「小野」だけは、そのままにしておこう・・・。
「小野」と言う苗字は唯一、太志、貴方のお母さんとの繋がりだから。
何か1つだけ、お母さんとの繋がりを持たせてあげたいと思ったからよ。
でもね・・・ごめんね・・・。
私の心の中で、どんな理由があるにしろ、貴方を施設に預けた母親を許せない自分がまだ居るの。
まだね、お金に余裕が無かったとかの理由なら、まだ理解はしてあげれるかもしれない。
だけど、理由はあまりにも残酷だった。
こんなに可愛いのにね。
子供を産みたくても産めない人も居るのにって・・・。
だけど、それは私の勝手な意見にしか過ぎない。』
菊はここで、口を閉ざし、ルウを見つめ、
菊:『ルウちゃん、こちらへおいで』
ルウ:『はい。』
そうして、次に、ルウへと言葉を菊が送る。
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