北山 菊&三枝 ルウ

20/25
前へ
/644ページ
次へ
どのくらいの沈黙が続いただろう・・・。 漸(ヨウヤ)く、菊が口を開いた。 菊:『今まで、黙っていてごめんなさいね。 私達は、貴方の名前を付ける権利だけはどうしても欲しかった。 だけどね、唯一、貴方の苗字の「小野」だけは、そのままにしておこう・・・。 「小野」と言う苗字は唯一、太志、貴方のお母さんとの繋がりだから。 何か1つだけ、お母さんとの繋がりを持たせてあげたいと思ったからよ。 でもね・・・ごめんね・・・。 私の心の中で、どんな理由があるにしろ、貴方を施設に預けた母親を許せない自分がまだ居るの。 まだね、お金に余裕が無かったとかの理由なら、まだ理解はしてあげれるかもしれない。 だけど、理由はあまりにも残酷だった。 こんなに可愛いのにね。 子供を産みたくても産めない人も居るのにって・・・。 だけど、それは私の勝手な意見にしか過ぎない。』 菊はここで、口を閉ざし、ルウを見つめ、 菊:『ルウちゃん、こちらへおいで』 ルウ:『はい。』 そうして、次に、ルウへと言葉を菊が送る。
/644ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1213人が本棚に入れています
本棚に追加