郁未

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郁未は菊の問い掛けにゆっくりと言葉を選ぶように答える。 郁未:『頼りないとかではないんです。 私がただ、ただ、弱いだけで・・・。 私は太志さんの心の支えになりたい一身で、太志さんの事ばかり考えて、 今思えば、自分自身の事をきちんと考えれてなかった気がします。 太志さんには、溜め込まないで話して欲しいと言いながら、 結局は自分は話せてない。 自分でも矛盾してると思います。』 菊:『そうね・・・。 矛盾してるわね。 郁未ちゃんは、周りの事ばかり考えて、 人の気持ちを先回りして読もうとするから、疲れないのかなぁってずっと思ってたの。 人の気持ちなんて、その人本人にしか解らない事なんだから、 先読みしようなんてしなくて良いのよ。』 郁未は菊の言葉に何度も救われた。 そして、菊は郁未に言葉を告げる。 菊:『もっと自分を大事にしなさい。 そして、たまには実家に帰ってお父さんとお母さんに甘えて来なさい。 何歳になっても、親からしたらいつまでも可愛い子供なんだから。』 菊は微笑み、そっと郁未を包み込んだ。 菊:『大丈夫よ。 そんなに抱え込まなくても。 郁未ちゃんだって一人で生きてるんじゃないんだから。 太志にも、うーんと甘えなさい。 あなた達は夫婦なんですもの。 甘えたり、迷惑かけて当然なのよ。 解った?』 郁未はコクコクッと頭を何度も縦に振った。
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