郁未

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太志は気になっていた。 今日、菊が来ていた事を。 郁未:『今日ね、お母さんから電話来て、 私が学校を休んだと話したら来てくれたの。 お母さんは気づいてたんだと思う。 私が悩んでる事。 それで、今日話したの。 そしたら、厳しい事も言われたけど、 お母さんが言ってる事が正しくて、何も言えなかった。』 太志:『お袋に何を言われたんだ?』 郁未:『お互いに、心配かけないようにしている行動が、 本当はお互いを傷付けてる事に気付いて欲しいって。 そう言われた時、 今までのお互いを見返してみたの。 確かに心配かけたくなくて、悩んでても言わなかったりしてたよね。 でもそれじゃいけないってつくづく思った。 私達、夫婦はまだまだ、 学ばなきゃいけない事が多いんだなって思った。 夫婦は他人同士が、同じ屋根の下で暮らすんだから、 ぶつかり合うのは当然で、 でもそれでも夫婦でいるんだから、強い絆を一緒に作って行って欲しいって。 私ね、ゆっくり、二人で強い絆を築けたらなって思ったんだ。』 太志:『そうだな。 お袋の言った通りだよな。 さっきはきつい言い方して悪かった。』 郁未:『ううん! 私の方こそごめんね。』 太志:『郁未。 子供の事はもう考えるな。 良いな?』 郁未:『うん。解った。』 そうして、この日、 郁未にも穏やかな気持ちが流れたのである。
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