直樹

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そして、夜。 大志と郁美は直樹のマンションに居た。 直樹は3人分のコーヒーを入れ、リビングに戻って来た。 直樹:『二人共、今日はごめんな。 来てくれてありがとう。』 大志:『何言ってんだよ。 大丈夫だよ。なぁ?』 郁美:『うん!気にしないで(笑)』 直樹:『ありがとう(笑)』 そう言った後、暫く沈黙が続いた。 そんな時。 郁美:『直樹さん・・・。 ごめんなさい。』 直樹はいきなりの、郁美からの謝罪の言葉に驚いた。 直樹:『何で、郁美ちゃんが謝るの!?』 郁美:『まだ、私が高校生の頃、直樹さんがルウちゃんにプロポーズするって言う事を、大志さんから聞いた事があったんです。 でも、実際は私と大志さんが先に結婚しちゃった。 私、気付いてるんですよ? 私の目覚めを待ってた事。 それから、私と大志さんが結婚したのを見届けたら、自分達の幸せを考えようとした事。 私が植物状態にならなければ、きっと、直樹さんとルウちゃんが結婚して幸せになってたと思う。 私が二人の幸せを遠回りさせてた・・・。 ごめんなさい・・・。』 郁美は下を向き、零(コボ)れそうになる、涙を必死に我慢していた。 そんな郁美を見ていた、直樹は優しく微笑んだ。
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