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カリカリ……カリカリカリ……
部屋の中は静かでシャーペンの芯が擦れる音しかしなくなった。
カリカリカリ…カリカリ……
「う~ん…終わったぁ!!」
裕太くんは伸びして真に向き合った。
「終わった!!」
「二回も言わなくてもわかってる」
彼はニコニコと僕を見る。
僕ははぁ~っと溜め息をついた。
ご褒美をあげる前に……
「一時間弱……勿体無い!!頭も集中力もあるのに何でちゃんとやらないの!!」
「あ…おっ………お前がいるからだよ…………」
裕太くんは赤い顔でボソッと言った。
どういう意味だ??
僕が不審者を見るように裕太くんを見た。
「あっ…えっ…その…ほら!!他にやりたいことあったら宿題なんて面倒だろ?」
ゲームとかテレビとかさっと慌てて取り繕う。
「ふーん…わからないこともないけど…それって怠慢してるってことだよね?」
「ま、まぁ…そうかもな…」
裕太くんは明後日の方を向いてアハハ…っと力無く笑った。
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