鉛色の空

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「気を付けー礼っ」 号令の声がしたのを合図にゾロゾロと生徒は教室を出ていく それに紛れ、少女は素早く荷物をまとめて教室をあとにした 向かう先は、校長室 「失礼します」 「あぁ、君か。 どうしたんだい?」 「私、学校辞めます 退学届頂けますか?」 「……え? どういうことだ、君は学年首席でとても優秀だった。 それなのに、何故?」 「短い間でしたが、お世話になりました もうここに居る必要がないんです。」 「…………そうか。」 「失礼しました」 校長室を出て、ゆっくりと廊下を歩いた 「いやー! 雨降ってるじゃん」 「今日は降らないって言ってたのに~。」 廊下にいる生徒は窓の外を眺め、愚痴を溢す 「…あ。本当に降ってる」 廊下の窓を見てみると 1時間前までは真っ青だった空が灰色へと変わり、大粒の雨が降っていた グラウンドには大きな水溜まりが出来ている 「…傘忘れちゃった」 まぁ…もうこの制服を着ることもないだろうから 濡らしてもどってことないだろう ピチャッ…ピチャッ… 「予想はしてたけど…やっぱり酷い雨だなぁ」 冬の明けて間もない4月の雨は冷たく彼女を打ち付けた ――でも、 「なんだか私の代わりに泣いているみたい。 あれ… なんか今更泣けてきちゃった……」 雨に紛れて瞳からも涙が頬を伝う 「グスッ… もぉ…なんで、わたしばっかり……」 彼女の瞳からは限りを知らない様に涙は出てくる 「ぅ…ひっく…」 ――ピチャッ… 「え…」 少女は後ろの足音にビクッと反応をする 恐る恐る振り返ってみるが、涙で視界がぼやけて顔が見えない だが雨の中傘もささず、泣いている姿を見られてしまった彼女の中でふつふつと羞恥が湧いた その人物は何か言いかけたが聞こうとする気持ちより早くこの場から立ち去りたいという気持ちが強かったのか、 すぐ方向を変えて走り去った 「…はぁっ…はぁっ」 濡れた髪を振り乱し、雨が制服に浸透しているのにも構わず、ただ走っていた 気がつけばもう家の前に居た 「あ、鞄開けっ放しで走って来ちゃった。 何か落としたかな…」 チャックの全開になったスクールバックをゴソゴソとあさってみる 「生徒手帳がない…。」          
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