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「一応編入と家を出ること伝えとこ」
「あら、もう帰ってたの」
母親は詩乃の気配に気づいたのかリビングから顔を覗かせた
「……。」
「何かあるんでしょ?
早く言いなさい」
「……私学校辞めたから。
それとこの家も、出ていきます」
「そう。
じゃあ私はあんたの講座に毎月振り込めばいいのね」
「…うん」
「用はそれだけ?」
「…お世話になりました」
詩乃は言い切ると、うつむいたまま階段を駆けのぼった
「…はぁ」
なんか今ので凄い体力使った気がする…
やっぱり、家を出ると言っても顔色ひとつ変わらない
あの冷たい目を見るには耐え難いものがある
「やっぱ目見て話せなかったな……
けど、やっとこの地獄みたいな家から抜け出せる」
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