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「で、その転校生とやらは、このクラスに編入してくるわけだから、変人か」
「おいおい。コウちゃんは、秀才クラスのこの全員を変人扱いか」
「当然」
「ふうん。それはいささか自虐的な発言だね。勿論、自分を含めて言っているのだろ?」
そうだとも。
それは認めるしかない。
しかし、なぜこの僕がこのクラスに入れたのかわからない。
たぶん、
いや、
間違いなく、
明白なまでに、
確実に、クラス一頭が悪いだろう。
僕はどちらかというと、平均的な人間だと自覚している。
だから二年次のクラスは三組になるだろうと予測していたのだが、それは良い方向にか悪い方向にかはとりあえず置いといて、
……見事に外れた。
進級試験でたまたま、良い点を取った結果がこれなのだろうけれど。
「一組で頭の悪さを披露するのも嫌だけれど、天才クラスに放り込まれる平凡な男ってのも嫌なもんだぜ」
ため息をついたところで、チャイムが鳴った。
丸メガネをかけたダルマのように丸く太った担任教師、大久保太教諭が入ってきた。
続いて転校生と思しき少女が入ってくる。
小柄で、腰まである茶色がかった長髪。
目は大きく、かなりの色白美人だった。
表情が尖っているためか、さながら雪女だ。
「今日からこのクラスの一員になる、転校生だ。じゃあ、軽く自己紹介でもしてもらおうかな」
大久保先生は額の汗をハンカチで拭きながら、教壇を転校生に譲った。
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