通せんぼう《さっちゃん》 Ⅰ

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「で、その転校生とやらは、このクラスに編入してくるわけだから、変人か」 「おいおい。コウちゃんは、秀才クラスのこの全員を変人扱いか」 「当然」 「ふうん。それはいささか自虐的な発言だね。勿論、自分を含めて言っているのだろ?」 そうだとも。 それは認めるしかない。 しかし、なぜこの僕がこのクラスに入れたのかわからない。 たぶん、 いや、 間違いなく、 明白なまでに、 確実に、クラス一頭が悪いだろう。 僕はどちらかというと、平均的な人間だと自覚している。 だから二年次のクラスは三組になるだろうと予測していたのだが、それは良い方向にか悪い方向にかはとりあえず置いといて、 ……見事に外れた。 進級試験でたまたま、良い点を取った結果がこれなのだろうけれど。 「一組で頭の悪さを披露するのも嫌だけれど、天才クラスに放り込まれる平凡な男ってのも嫌なもんだぜ」 ため息をついたところで、チャイムが鳴った。 丸メガネをかけたダルマのように丸く太った担任教師、大久保太教諭が入ってきた。 続いて転校生と思しき少女が入ってくる。 小柄で、腰まである茶色がかった長髪。 目は大きく、かなりの色白美人だった。 表情が尖っているためか、さながら雪女だ。 「今日からこのクラスの一員になる、転校生だ。じゃあ、軽く自己紹介でもしてもらおうかな」 大久保先生は額の汗をハンカチで拭きながら、教壇を転校生に譲った。
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