通せんぼう《さっちゃん》 Ⅰ

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そして息を吸って、 「デブです」 と痛烈な一言。 「ようし、先生今日からダイエットしちゃうもんね」 二十七歳独身教師。 可愛げな女子生徒の声にダイエットを宣言した。 ここで再びどっと笑いが起こり、千坊も表情が緩んだ。 デーブはぽんと突き出した腹を叩き、 「安いよ、安いよ。今なら五十パーセントオフで分譲中だよ。白石、どうかな、このマグロよりも脂の乗った肉、欲しくないか? 脂肪百パーセント、筋肉ゼロパーセントの、こってり脂肉だ」 どういうわけか僕に振ってきた。 確かに僕には脂肪が少々足りないかもしれないけれどもさ。 「謹んで丁重にお断り申し上げます」 筋肉なら折り合っても良かったが、脂肪はいらない。 デーブめ、若造を将来のメタボ予備軍に仕立て上げようという算段か。 「冗談ですよ先生。私は程よく肉付きのある人が好きです」 「ふむ。それならよかった」 にんまりと笑ったデーブの内心が手に取るようにわかった。 ダイエット打ち切り。 内心でそう宣言したに違いない。 「私が本当に嫌いなのは、頭の悪い人です。だからこの学校を転校先に選んだんですよ。頭の良い人の中から、さらに友達を選りすぐりできるもの。でも私は、このクラスの皆と友達になりたいと思っているので、どうぞ仲良くしてやってください」 さらっと強烈なことを言ってくれる。 ずいぶんと自分の頭脳に自信を持っているお姫様のようだ。
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