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――翌日――
「遅い」
約束の起床時間に間に合わなかった一馬と理央は問答無用でエースに叩き起こされた。
二人は昨日の暗黒料理のせいで腹を抱えながら踞っている。
しかもソレで一晩中眠れなかったのは言うまでもない。
エースはというと一馬と理央が倒れたあと、鍋にあった暗黒カレーを全部食したのにもかかわらず何故かピンピンしている。
腹の鍛え方まで普通とは違うのか…一馬はエースをこの時ばかりはうらめしく思った。
「まさか一馬と理央が未夢の料理が美味し過ぎて倒れちゃうなんて思わなかったよ!」
どこまでもポジティブ少女な未夢は勘違いな見識を述べたが二人は言い返す気力も体力も最早残っていない。
「人間って大変なんだね~ボク同情するよ」
「“魔界”の住民に生まれたことを誇りに思うわ。マジで」
黒太郎と緋炎の嫌味にすら何も言えない。お腹がすくという衝動を後悔したのは生まれて初めてだった。
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