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9月のある日、
僕はいつものように
越冬の為の保存食を
運んでいた。
今日はいつもより
風が冷たい、もうそこまで
冬が来ているのだろう。
「はぁ~。
もうそんな時期か…。」
そう呟きながら、
倉庫へと歩いていた。
そこで、ふと
どこからか響く歌声に
気付いた。
「君は越冬の準備を
しないのか?」
僕が草むらに向かって
そう訊ねると、歌声は止んだ。
代わりに、声が聞こえてきた。
「俺か?
俺は…ゴホッゴホッ、
みんなに歌を聴かせるのが
仕事なのさ…」
それが仕事?
そう思いながらも
僕は彼に忠告をした。
「ここの冬は厳しいんだぞ?
今から準備しないと
間に合わない。」
しかし、彼は取り合わず、
ただ「そうか」
と応えただけだった。
僕もそれ以上は何も言わず、
倉庫に保存食を入れ、
家に帰った。
僕は彼、つまり、
キリギリスが
はっきり言って嫌いだ。
理由は分からないが、
彼を見るとムカつくのだ。
そこで、僕はある計画を
思い付いた。
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