畏怖~ルーク篇~

10/12
前へ
/24ページ
次へ
俺には、今こんなに心配してくれる人がいるんだ。 それなのに、俺はこんな所でくすぶって良いわけがないんだ!! ルークは覚悟を決めたように前に出ていけば、苛ついた視線で此方に剣を振り上げてきた相手の剣筋を避けて、相手の腕を掴んだ。 「だって、俺がきちんと落とし前付けなきゃ、また『負』が溜まるだけじゃないか!……俺、そんなの嫌だ、アニス達みたいに自分にけじめを付けたいんだ!!」 そう言い切れば相手はビクリと震えた。 しかし、ルークは手を掴んだままに瞳を見つめる。 「そうだよ、俺は馬鹿だし。間違った事もする。……飽きられるかもしれない。 それは、今でも怖いよ…………だけど、だからって折角ここまで頑張った俺自身までを、無駄にするわけにはいかないんだ!」 そうだ、駄目でも直していける。これから、いくらでも変えられる。昔のままでいいことだって、あるんだと。思いのたけをぶつけた。 「………んな事言ったって、お前は、これ以上自分を追い詰めんのか?辛いんだろ?」 「……辛いよ。だけど、ちょっとだけどそんな俺も認めてくれる奴もいる。」 ルークは言いながら相手の髪の毛を優しく掴んだ。 「無理をすんなって、やれるだけやったら、たまには休む事も必要だって言ってくれる……だから、大丈夫」 ニコ、とぎこちないけど笑みを向ければ、自分の分身は剣の塚から力を落とした。 .
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

37人が本棚に入れています
本棚に追加