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登り付いた先には、待ち受けるように憎しみに瞳をぎらつかせた黒い、自分自身がいた。
「……復讐を、止めるのか?」
その手には、血に濡れた宝剣ガルディオス。
昔は、あの剣で己の家族を、家を、幸せを全てを奪った憎い敵を討つ気だった。
だけど、その敵もしたくてやってはいなかった。
戦争だったから、仕方が無かった。
それだけで全てを終わらせられたくは無かったから。
どうして、俺の家が崩壊しなくちゃいけなかったのか独自に調べた。
その時に知り合ったのが、ルークだった。
我が儘で、横暴で横着で馬鹿で最悪で………
どうしてこんな奴が幸せに暮らせるのに、己は不幸だったんだろうと思っていた。
「……姉さまや、母上や父上を。忘れるのか?あんなに愛情込めて育ててくれたじゃないかよ!!」
己の分身は怒りに任せて強く剣を、柱にこびりつく木の根に向けて切り付けた。
「俺は、こんな生活は嫌だ。女性に触れず、それをからかわれて遣いっぱしりにされて……俺は由緒あるガルディオス家の嫡出……違うか!?」
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