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「そうだ……だけど、俺はそれを理由に今の人生を捨てる気も無いんだよ」
「………皆が、悲しんでもか?」
ギラリと此方を睨み付ける己の『負』に、ガイは目を細めた。
「……悲しいのは、自分の気持ちだ。姉上は俺に生きていて欲しかった」
「そうだ!俺の家族は俺に生きて復讐をして欲しかったんだ!」
「……違う」
「違わない!!俺はその為に生かされたんだ!!」
全く己の言い分に耳を貸さない己に腹が立ったか、『負』の自分は剣を握り締めると自分に向かってガムシャラに走り出してきた。
「復讐の為に生きられないなら、死んじまえ!代わりに俺が復讐をしてやるんだ!!」
そう言って剣を横に斬り付けようとしてきた。
しかし、ガイはその場を動かない。
その『負』の瞳をじっと見つめ続けた。
ガキィン!
と、強い剣の衝突の音が響いた。
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