畏怖~ルーク篇~

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『負』のルークは、紛れもないルーク自身。それはルーク自体が分かっていた。 黒い自分の口から出た言葉に、ルークは唇を噛み締める。 ……だからこそ自分の気持ちで何とかしなくてはいけない、と。 ルークは足を起こすと、過去の自分を見つめながらにゆっくりと前に歩き出した。 「……ルーク?お前、あぶねぇから下がってろよ!」 「ルークさん!貴方がいなくなって、皆心配されて……… 依頼に出てない方々、皆で探しに来てたんですよ? これ以上、心配させてはいけません」 それに最初に気が付いたチェスターは慌ててルークに怒鳴りつけた。ミントもそれに気が付き、声をかける。 しかし、ルークはそれを聞かずに剣を構える己に向かって歩き出した。 ………視線を、己の分身に向けて。 「んだよ?自分でも抱えきれないくせに、俺に挑むつもりか?」 「無理をするな、ルーク!」 慌てて肩を掴むガイにルークは決意を決めた視線で見上げた。 「……大丈夫。逃げないって決めたんだ」 一度、逃げかけた。 もう無理だと、 そして、今、その負に負けかけた。 でも、それでも。
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