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氷海「理由はもう察していると思うがこの左腕の事でここに来た」
そう言って、自分の左腕の袖をめくり上げる。
そこには刺青を隠すための包帯が何重にも巻き付けられている。
エウ「!……氷海、その腕……怪我してるの?」
心配と驚きが合わさった顔をしている、ムウト以外皆似た様な表情だ。
氷海「怪我じゃない……これは封印だ」
ルディア「封印?なにを封印しているんだ?」
氷海「刺青だ。この包帯には東洋式魔術の術式が組んであって刺青の力を封じている……で、その刺青の正体がわからないから西洋まで来たんだ」
左腕の包帯を触りながら言い、袖をおろそうとすると
ルディア「待ってくれ」
ルディアに呼ばれ、袖をおろすのを一旦停止する。
ルディア「良ければ刺青を見せてくれないか?専門家ほど詳しくはないが何かの力にはなってやれるかも知れない」
ルディアの発言にムウト以外は頷いた。
これに氷海は驚いた。
今までにこの話をした事が何回かあった。
しかし、人間と言うのは正体がわからない物に恐怖をする生き物で、実際この話をすると誰もが氷海を恐怖し敵として見た。
だけど、ここは違った。
ただ一言……力になりたいと……言ってくれた。
それが嬉しくて堪らなかったが、同時に悲しかった。
優しさに答えてやれないのが……
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