~最後のメール~

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『お荷物は以上でよろしいですか~?』 窓の外から爽やかな声が聞こえた。 『は―い、お願いしま―す』 私は、2階の窓から下を覗き込みながら答えた。 私の目線の先にはいかにも大学生のアルバイト風な若い男性が帽子を少し横に被りながらこちらを見上げていた。 『それでは先に出ますのであまり遅れない様に来てください』 彼はそう言うと帽子を取って軽く頭を下げてから走ってトラックに乗り込んだ。 『は―い』 私は、返事をすると彼を目で追いかけた。 トラックが走り出すのを見届けるとそのまま目線を空に向けた。 雲一つない真っ青な空が広がっていた。 『今日は引っ越し日和ね』 私は、そう呟くと窓辺に座った。
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