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∑バサッ
教科書をカズマの机の上に乱雑に置いて、伊吹はカバンの中から週刊のマンガを取り出した。
「橘くん見やんの?」
恐る恐る尋ねるカズマの問いに伊吹は頷く。
「え…」
「いいから」
伊吹の人を寄せ付けない、といった空気に押されて
「ありがとう…」
カズマは大人しく借りることにした。
伊吹はマンガに目を向けたまま。
カズマは愛想のない伊吹を少し苦手に思った……。
◇◆◇◆
キーンコーン
カーンコーン♪
一時間目終了のチャイムが鳴り、休み時間。
セージが椅子を後ろ向きに座り、カズマに話しかける。
伊吹はどこかに行ったようだ。
「伊吹愛想ないからびっくりしたやろ~っ!
でも悪いヤツ違うで。誰にでも口数少ないヤツやねん」
「そうなんや~」
セージとはいい友達になれそうで嬉しいカズマ。
すると、何人か生徒がカズマの席の周りに集まってきた。
茶髪にインテリに見えるメガネをかけた男子が、カズマに声をかける。
「俺、セージの友達の伊集院 誠人(いじゅういん まさと)。マサトて呼んでな」
「コイツ、ダブりやから一個年上やねんで~」
「留学してたって言えよ!」
セージとマサトは仲が良さそう。
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