第一章

6/6
前へ
/20ページ
次へ
「お前の言うとおりだ。生きながらえる為の戦など、俺はやりたくないし、やろうとも、思わぬ」 呂布は遠い目をしていた。 「大きくなりすぎたかもしれん。丁原の、董卓の部下であれば、何も考えずただ暴れられた。人の上に立つというのは、やはり俺には向かぬ」 「ですが、呂布様でなければ徐州は治められません」 「いや」 呂布は首を振った。 「誰でもよいのだ。軍人以外ならな。誰かの下で、俺が軍を率いる。軍人はただ軍を動かせばいいのだ。政に関わる必要はない」 「ここらが、潮時なのかもしれん」 「それは…どういう意味でございますか?」 その問いには返事をせず、呂布は寂しげに笑った。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加