ペンギン君と私

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私は急いでその三羽を先ほどと同じように風呂場へと連れて行った。 三羽まとめて連れて行ったのか、一羽ずつ運んで行ったかは覚えていない。 ペンギンの身体が冷たかったとか重かったという感覚さえも定かでない。 なにせ必死だったから。 とにかく私は、その三羽を先と同じように湯船に入れた。 しばらくすると霜がとけ、三羽は仲良く泳ぎ始めた。 …良かった…。 …正確に言えば、身体の小さい子供ペンギンはともかく、親ペンギンは身体の半分以上が水面から出ている。 本人は泳ごうとしているのだろうが、実際は左右の羽で湯水をパシャパシャと叩くのみである。 …家の風呂桶が狭くて申し訳ない…。 いや、彼らの背丈が完全に埋まるくらいの水を張ることは出来る。 そうすれば、彼らにとってもう少しくらいは居心地のよい場所になるだろう。 しかしそれでは、親ペンギンはともかく子供ペンギンが溺れそうで怖い…。 …溺れる? よく見ると、一番最初にここへ連れて来たペンギン君が水面下に沈んでいた…。
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