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  唯が目を開くと、麗一の綺麗な顔が間近にあった。 「…近い」 顔を赤くすることも、少しもびっくりしたことを感じさせない唯に麗一は可愛くないなと、内心ため息をついていた。 「もう授業終わってるよ、唯」 「唯って呼んでくれるんだな…」 唯が少し嬉しそうに笑ったのを見て、麗一は少し優越感に浸っていた。 気絶して記憶を少し消した隼人は部屋の柱に縛りつけておいた。 唯に心酔しきっている隼人が唯に気付くのは早いだろう。 そして隼人は気付いていないだけで、唯に少なからず(自分と同じように)恋心はあるはずだと麗一は考えている。 「じゃあ教室に戻ろうよ」 「ああ」 唯と麗一は屋上の人目がつかない死角からからさっと飛び降り、木に移った。そして地面へと降りた。 2人は教室棟へと窓から侵入し、何事もなかったかのように歩き出した。 「なんで当主様みたいに忍術使わないの?」 「忍術なんて簡単に使ってたら人間じゃなくなる感じがするんだよ。忍術はもう魔法に近いだろ?ホントは体で動いてこその忍者、なんだよ。だから忍術には頼りたくないんだ」 唯は忍術を嫌っているようにも見えた。 「まぁ、僕達も体でしか動かないからね」 ふふと麗一が笑うと同時に、開いた窓から風に乗って桜の花びらがふわりと唯の肩に落ちた。 嫌そうな顔はしたが、唯はさっきのように払いのけたりはせずにそのままにしておいた。 いずれは肩から落ちるだろう、と。  
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