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  唯が口笛を吹くと、羽を広げ紙を持った鷲が現れた。 「生徒名簿だ。なんか怪しい奴いたら…あ、るんきょんありがとな」 唯はオニギリを半分、るんきょんにほらと与えた。 ネーミングセンスは皆無である。 「るんきょんって…」 麗一は名簿をめくり、胸ポケットからペンを取り出した。 「今さっき言った2人も関わらない方がいいけど、一番関わったらダメなのは生徒会だよ」 「ん?隼も生徒会書記だろ?」 そうなんだよね、と麗一は器用にペンを回しはじめて空を仰いだ。 「まぁ、容姿と家柄重視の…要するに人気者の集まりなんだよ。貝原は茶道の家元の息子だし、隼人もああ見えて家は華道の家元だからね」 唯が隼人の家柄に少し驚いているようで麗一は思った。無関心すぎるだろ、と。 「容姿端麗で理事長の親戚なら…ああ、お前も生徒会?」 麗一は不本意そうに頷いた。そんな麗一を見て唯はフーンと面白そうに口角を上げた。 「…じゃあお前とも関わったら駄目だよなぁ?」 「え?やめてよ主!」 麗一は唯の肩を揺さぶった。揺さぶられながら唯は麗一の手に自分の手を重ねた。 「冗談だよ、馬鹿」 「ホント?!」 麗一は笑顔を浮かべて唯に抱きついた。 唯はというと春の陽が暖かくてうとうとして、ついに麗一に抱きつかれながら寝てしまった。 唯は午後の授業は出れないだろうな、なんて麗一は考えていた。 「好きだよ」 唯の寝顔を眺めていた麗一の呟きは唯に聞こえることもなく、風に消えた。  
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