642人が本棚に入れています
本棚に追加
だが、火月というだけで裏の世界にも通じるのでガッポリ金儲けは出来るというわけだ。
政治家や警察にも深我の人間はいるから、ある程度のやりすぎは揉み消せる。
「唯には学校に行ってもらわないと困るんじゃ」
宜蔵の顔が一瞬歪んだのを唯は見逃さなかった。
「亰(みやこ)が抗争を仕掛けてきそうでな…。まだ京臥(きょうが)がお前を諦めてないんじゃの~」
チッと唯は舌打ちをした。
亰は深我と対立する忍者の一族で、京臥は火月と同じようなもので若頭に代々受け継がれる名前だ。
今の40代目の京臥は、火月を手に入れたく、ことあるごとに深我に手を出してくる。
深我も亰も皆、顔を隠しているのに京臥は火月に惚れたらしい。
唯は気に入らないので、麻酔銃攻撃も『僕を眠らせて跨がってくれるの?』と全く効かなかった。
「あのクソ変態が…。めんどくせー」
「深我の人間の中にもお前を差し出せばいいとか言う者も現れてなぁ。それは深我の負けを認めるようなもの…」
「あ?俺を差し出せばいい、だぁ?どこのどいつだ?」
しまったと口を閉じたときにはもう遅くキレた唯は銃を片手に立ち上がっていた。
「なんでお前は銃を持ち歩いているんだ?!忍者なら忍者らしく」
「クナイなんかよりこっちだろ?…で、その親戚は誰だよ」
最初のコメントを投稿しよう!