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私立櫻李学園高校、小学校から続く全寮制男子校でそこを卒業した著名人は多い。
「櫻李とかプライド高そうな世間知らずばっかりそうだな」
唯は呟いたが、実際はそうで特待生の一般人はあまりいない。
「プライドが高そうな奴を跪かせる…まぁ、この深野唯様々が跪かせてやろうか」
物騒な笑みを浮かべて、唯はサインを書いた。
宜蔵はそのサインを見て首を傾げた。
「名前を間違えて…」
「念には念を。その高校では深野唯じゃなくて"天上唯(てんじょうゆい)"だ」
宜蔵は偽名とはさすがワシの孫じゃと思っていたが、
「天上天下唯我独尊の略だ。さすが俺っ!頭いい~」
また性格が悪い孫に呆れ返ってしまった。
どうして、こう性格が歪んだのかと。
「で、いつから行けばいいんだ?」
「明後日からじゃ」
「早っ」
唯は指をパチンと鳴らすと、顔を隠した従者が天井から降りてきた。
「ありがとう、林場(はやしば)」
林場と呼ばれた従者は、唯のノートパソコンと櫻李のパンフレットを唯の前に置き一礼するとまた天井へと消えた。
この家はからくり屋敷のようになっているため、なにかと便利だ。
唯はパソコンを立ち上げると、カタカタとキーボードを打ち始めた。
「なにをしてるんじゃ?」
「あ?決まってんだろ?櫻李にハッキング」
いつの間にかプリンターまで用意されていて、生徒名簿やらを印刷していた。
もちろん、犯罪だ。
「あ、地図もだよな~!どうせ抜け出すし!」
孫が本気で心配になってきた宜蔵だった。
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