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  「金の無駄遣い…」 金色に光る校門を見て、溜め息を付いた。 そんなことを呟いたのは天上唯(深野唯)。 今の彼は目を隠すためにカラコン、そして中学時代から愛用してきた伊達眼鏡を掛ける地味な少年だ。 「で、どうやって入るんだ?」 この固く閉ざされた門をすり抜けたとしても、防犯ブザーが鳴り響くだろう。 これを潜るのは容易なことだが、誰かに見られる可能性もある。 唯がどうしようかと、困っていると門は重そうな音を立てて開いた。 「ようこそ、私立櫻李学園高校へ。我々は天上唯様を歓迎致します」 頭を深々と下げられ、唯は少し驚いてしまった。 眼鏡を掛けた神経質そうな、執事だったからである。 「案内致します。こちらへどうぞ、天上様」 すると黒塗りの高級車が止まり、彼はドアを開けて乗るように促した。 唯は初めて乗るリムジンにワクワクしながら乗り込んだ。その後に、執事が乗り込んだ。 「ああ、申し遅れました。私は理事長の秘書兼執事、斑鳩誉(いかるがほまれ)です。よろしくお願い致します」 誉はニコリと笑う。 「天上唯です、よろしくお願いします」 唯も誉に合わせてニコリと笑った。 「天上様にはまず理事長に会って頂きます。そして、担任と一緒に教室へ」 「分かりました。あ、ここはどんな学校なんですか?」 唯はこの高校の噂やらは前もって調べているが、関係者から聞いた方がいいと思った。 「ここは環境なども素晴らしい学校です」 どこがだ、と唯は内心毒づいていた。 (プライドが高ぇ金持ちの坊っちゃん共の集まりだろ) 「…ですが、男子校なのでやはり恋愛対象が同性に傾いてしまうようですね」 京臥に慣れてしまったため、あまり驚くことはなかった。 (男子校な時点で薄々見当はつく)  
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