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【圜】
が、ホールがどこかわからない。
入学案内書をひらいて、地図を確認する。
「えっと……あれ?こっち?」
右に曲がろうとすると、トンと右肩を叩かれた。
「はずれ、だよ?」
振り向いた先には、目も眩むような美少女。
「ハイ、リリ。」
「!!ユズキ!!」
思わず抱きつく。
「わっ、ちょっとリリ。」
しかし嫌がってる様子はない。
大親友、ユズキだった。
「久しぶりだね、リリ。」
「うん!うん!元気だった?」
「うん、まあまあ。でも、淋しかったよ。」
うるると涙ぐむ。
二人は、高学院(中学校のようなもの)時代からの大親友だ。
昔、ちょっとした諍いがあって、それをきっかけに二人は、誰よりも話すようになり、誰よりも同じ時間をすごした。
高学院最後の年、リリは入学試験勉強、ユズキは、両親の方針で留学することになり。
再会はこの学院でと誓っていた。
連絡はとりあっていたけれど、半年ぶりの親友との再会だった。
「ホールはこっち。席も近いわよ。」
その指は先程リリが行こうとしていた方と反対を指した。
「席近いの!?もしかして、同じクラス!?」
リリの顔が輝く。
「当然。」
ふふ、と笑って、リリの手をひく。
二人はホールへとむかった。
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