*第一章*

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『おい!!何か言えよ!!』 俺は謙吾に問いかけた。 重い空気が“本物”だと言っている様で、耐え難い。“マネキンだよ”その一言を聞けば解決するんだ。 何か言ってくれ…。 『これって…』 漸く喋り出した謙吾をじっと見つめ、首を縦にふり“うんうん”と頷いた。 しかし、次の言葉で一気に気が抜けた。 『…マネキン…なのかなぁ?』 『はぁ?』 俺が問いかけたのに、それに問いかけ返されたのだ。俺が聞きたいのに、“アレ”の持ち主が《何だろこれ?》じゃ、話にならない。 『お前が何で分かんねぇんだ?自分で買ったか、貰ったかじゃねぇの?』 『ん…確かに。自分で買ったっつうか…貰ったっつうか…』 言葉を濁し、何か言いたげそうな顔をした。 それを察した俺は、 『だけど…何だよ?全部説明しろよ!!こんなもん見せられて、何も分からないじゃ気味悪いじゃん!!』 『だな…』 そして謙吾はゆっくりと事の始まりを語り出した。俺は所々相槌を入れながら聞いていた。
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