平凡な日常からエキサイティングな日常へと変わる日

8/11
前へ
/341ページ
次へ
HRが終わり、さっそく授業が始まった。 そして、午前最後の授業、四限目の体育を今行っていた。 体育の内容は、ハードル走。しかも、うちの学園は全校生徒の合計が100人にも満たさない学園で、ちょくちょく1年、2年、3年の中で二組混合でやる事が多い。そして、今日は1年生と混合だった。 「位置についてー」 体育担当の先生、山田大和(やまだやまと)先生の声が聞こえた。 すでに終わらせていた僕は、ベンチに座りその方向には、 「あ、鷲だ」 鷲がクラウチングスタートの体勢になっていた。 鷲は僕の視線に気付くと、こちらに向かってクラウチングスタートの体勢のまま、手を振ってきた。…………余裕ですか?鷲さん。 「よーい……ピーっ!」 山田先生は口にホイッスルをくわえ、想いきり吹いた。それと同時に、クラウチングスタートの体勢をしていた生徒達が走り出した。 その中でダントツだったのは誰か……、言うまでもないか。 鷲は50メートルのハードル走なのに、10メートルくらい差を広げて、先頭を走っていた。そして、ゴールした。 あらかじめ、ゴールの所にいた生徒がストップウォッチを見て、唖然としていた。 「な、7秒12!」 あたりからどよめきが生まれた。 スゲー、とか、やっぱ神奈には敵わねぇな、とか、神奈君カッコいい!とか、様々な言葉が人々の口から生まれる。 鷲は皆に「あんがとー」と言いながら、僕の隣のベンチに座った。 「どうだ?有理。俺の生きざまは」 「スポーツした方がいいじゃないの?」 短距離なら誰にも負けないじゃないか? そう思うが、鷲は「チッチッチッ」と指を振った。 「俺は情報屋だぜ?スポーツマンじゃないんだよ。それに、スポーツやってるよりも、情報屋として情報を提供してた方がモテるってもんよ」 「さて、そいつはどうだろう」 「あん?」 僕が鷲と反対側の方向を見ると、そこには3人の女生徒が。そして、そのうちの一人は長いか短いかよく分からない長さの髪が特徴的な女の子、僕の義妹の由香だった。 由香は僕の方に近付き、二人の女生徒は鷲の方へ向かった。 「あ、あの!神奈先輩って、足速いんですね」 「え、あ、いや、ハードルって足の速さじゃないと思うけど……?」 「違ったとしても、神奈先輩のタイム7秒ですよ?すごいじゃないですか」 「あ、いや、そんな事は……」
/341ページ

最初のコメントを投稿しよう!

921人が本棚に入れています
本棚に追加