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「冗談冗談。じゃあね、鷲」
「ったく、お前は俺の親友だろうが」
親友だからこそ、弄りたくなるもんですよ、鷲さん。
「鳥羽君」
鷲が出ていった後に、今度は蜜谷香寺さんが僕の机へときた。相変わらず、綺麗な人だ。
「なに?蜜谷香寺さん」
「あ、うん……。今日のボランティア……気を付けてね」
そう言うと、蜜谷香寺さんは颯爽に教室を出ていった。気を付ける?高梨屋さんに、か?いやいや、変な力なんて噂だろ?噂。…………僕のなんて、もっと酷いんだから。
「え?今日のボランティア無しになったんですか?」
図書室に向かう途中、今日のボランティア関係者と出会い、今日のボランティアが無くなった事を教えてもらった。
何で急に無くなったんだろう?そう思い、僕は聞いてみた。
「それなんだがな、あの高梨屋の女の子が全部やるって言ったらしくてな。ボランティア参加の人達に言ったら、皆帰っちゃってね。君も参加者だったから、伝えようと思って。呼び止めてすまんかったね」
「いえ、むしろ教えてくださいまして、ありがとうございます」
僕は一礼して、その場を去る。そして、ある所へ向かう。
そのある所とは――
「着いた」
図書室と書かれたプレートがぶら下がった部屋の扉の前で、僕は立っていた。
いくら全部やるからって、一人は大変すぎる。しかも、高梨屋という人は女の子だ。女の子一人には任せられない。
僕は扉に手を掛け、一気に開いた。そして、言葉を失った。
「え……?」
「なっ……!」
そこにいた女子生徒が本棚を修理していた。しかし、普通の修理ではない。
「それ……は……」
「あっ……!」
女子生徒は本棚を修理していた。……自分の手を緑色に光らせて。
どういう原理なのか、女子生徒がその緑色に光る手をかざしただけで本棚の傷は徐々に直っていく。それを、僕は見ていた。
「………………見たわね」
手に光っていた緑色の光を消し、女子生徒は僕に歩み寄ってきた。
「見られたからには……口封じが必要ね」
「ちょっ!待って!僕にも君のような――あぅ!」
それから小一時間、僕は正体不明な女子生徒にボコボコに痛め付けられた。
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