921人が本棚に入れています
本棚に追加
リィンちゃんが作ってくれた朝食を食べ終わり、僕は洗濯物を干し、ゴミを出してから東雲学園へと登校した。
由香は今日、体調が優れない様子で欠席するとの事。
本当なら、僕も学園を休んで由香の看病をしたい所だが、家にはリィンちゃんがいる。だから、その点は心配ないだろう。
「お、有理発っ見!」
「本当だ。おはよ~、鳥羽君」
と、そんな時、僕の後ろから聞き慣れた声が聞こえた。
「あ、おはよ、鷲に蜜谷香寺さん」
足を止めて、後ろを向くと、そこには鷲と蜜谷香寺さんの二人がいた。
「あれ、今日由香は?」
「体調不良だってさ。お手伝いさんのリィンちゃんに看病してもらってるよ」
「リィンちゃん……?…………ああ、昨日突然来た人か」
「リィンちゃん?誰それ?」
昨日の事を全く知らない蜜谷香寺さんは、首を傾げた。
「蜜谷香寺、実はな、かくかくしかじかでな」
「ふむふむ。昨日突然現れた謎のお手伝いさん、ね」
「しかも、金髪碧眼の女の子でな。大人びてて、女性と間違えやすいけど、よーく見ると、美少女なんだわ」
「マジすか!?ちょっと鳥羽君。どこでフラグ立ててんのよ?」
「いやいや!フラグ以前に、父さんからの命令で来たとか何とか言ってたけど……?」
「へぇ……」
全く納得のいってない顔で言われた。
「あ、そうだ。ロリコン」
「誰がロリコンだ!?」
「ごみ~ん、間違えた。神奈君。妹さんとは仲直りした?」
「情報屋でもないお前が、どこでそんな情報を……、まぁ、仲直りしたよ。おんなじプリン買ってあいつにあげたら許してくれた。“し、仕方ないから許してあげる”だってよ」
そっかぁ。仲直りしたか。よかったよかった。
そんな他愛のない話を三人でしながら学園へ向かった。
「でさー、今回の情報はお買い得だぜ?今日のヤマネコスーパーに売り出す卵(10個入り)が1パック50円だってよ」
「神奈君、その情報私の家に来てたチラシに書いてあったよ」
「ちぃっ!バレたか!」
「あははっ。鷲の情報はたまに皆が知ってる時があるからね」
「しかし、それは10分の9の確率だぜ!」
「頼りにならない情報屋だわ」
「う、嘘!今の嘘な!」
と、三人で校門をくぐる……と、
「待ってたわ。鳥羽有理」
やや高めの女子の声の人が、僕を呼んだ。
最初のコメントを投稿しよう!