高梨屋朱里

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誰だ?と思いつつ、その方向を向く。そして、言葉を失った。 「あ、あなたは……!」 「ふふ~ん」 「……誰でしたっけ?」 ズシャっ! そこに立っていた女子は、派手に転んだ。 「私の事、覚えてないの!?鳥羽有理!昨日、図書室で会ったでしょ!」 図書室?……ああ。 「あの時の人……」 「ようやく思い出したようね」 「あのー……」 「鳥羽君。こんな女には関わらない方がいいよ」 言い掛けた時、蜜谷香寺さんが何故か、僕の手を引き校舎の中に入ろうとする。 「あらあら、冷たいのね。仮にも同じ四大家系の者だというのに。ねぇ、架名」 (え……?四大家系……?) 「私は、あんたを対等の人間として見た事ないわ、朱里」 そう言うと、その女子―朱里というらしい―は、ふふんと笑った。 (鷲、今……四大家系って……) 僕は近くにいた鷲に、小声で話す。 (ああ、俺の情報に間違いがなければ、あいつは四大家系の一つ、高梨屋家の次女にしてこの学園のアイドル的存在の高梨屋朱里だ) (!あの人が高梨屋さん?) 学園のアイドル的存在の女子生徒を、僕は見る。成程。アイドル的存在といわれる理由が分かった。まず、彼女の美貌。やはり、四大家系という貴族だからなのか、蜜谷香寺さんに劣らず綺麗な人だった。 でも、蜜谷香寺さんとは違う……。 「でも、生憎あんたに用はないのよね。用があるのは、あんたが手を引っ張ってる男子、鳥羽有理よ」 「知らないよ。鳥羽君、行こっ。神奈君も」 人の目も気にせず、蜜谷香寺さんは僕の手を引き校舎の中へと入った。 「……。あんたは……」 「神奈鷲だ。ま、別に覚えなくてていいぜ」 「……。ま、あんたの言う通り、覚える価値はなさそうね。でも、あんたはほかの男子生徒とは違うっぽいわね」 「お前には関係ねぇな」 「さて、それはどうかしら?ま、あんたも私と同じならいずれまた、話す機会はありそうね」 「んな機会は作らせねぇ。お前は俺の敵だからな」 そう言って、鷲は校舎の中へ入っていった。 「……敵、ね。ふふ、面白いじゃない」 「むっっっかつくぅぅぅぅぅ!!」 僕の所属する2年1組の教室に入ると、蜜谷香寺さんが拳を作り震わせていた。 「同じ四大家系の人だったみたいだけど、仲悪いの?」 「悪い悪くない以前の話よ!」
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