平凡な日常からエキサイティングな日常へと変わる日

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4月20日 天気 晴天。 春の暖かな太陽の光が、僕の瞼へと突き刺さる。 「……ん……、朝……か」 僕はその光のおかげで目を覚まし、横にしていた身体を起こす。 ん~っ!と伸びをした後、近くにあった目覚まし時計を見てみる。 時刻は5時ちょうど。僕がいうのもなんだけど、普通(男の)学生が起きるような時間ではない。 時間を確認した後、僕はベッドから下りて、高校の制服に着替える。そして、そのまま部屋を出ようとした。 「っとと、いけないいけない」 そこで、僕はある事に気付き、机に置かれている学生鞄の中身を確認する。 「忘れ物は……ないな。よし」 僕は学生鞄を持って、部屋を出た。 部屋を出て、僕はゆっくりと階段を下りる。急いで階段を下りて、大きな音をたててあの子を起こすのは嫌だから。きっと今頃、ヨダレをたらしながら幸せそうな表情をして眠っているに違いない。 だから、起きるまでは幸せな気分でいさせてあげよう。 鳥羽有理。 それが僕の名前である(名前で時々、女に間違われる事もある)。 幼い顔立ちのせいか、実年齢よりも若く(いや、この場合幼くといった方がいいか)見られる。 料理、洗濯、掃除などなどの家事を得意で鳥羽家でそれを任されてる。いや、自分が好きでやっている。 最初の方はぎこちなかったが、やってるうちにどんどん上達して、並の主婦さんにも負けず劣らず家事が大得意となった。経験って大切だね。 冷たい水で洗顔する僕。 わざと冷たくする事で、重たい瞼を軽くする事が出来る。少なくとも、僕はそうだ。 水が出ている蛇口を捻り、水を止める。 清潔なタオルで顔を拭いて、鏡を見る。 自分の顔が鏡に映る。その度、僕の顔は面白くなさそうに歪む。 「……何で僕の左目は……こんな目なんだろう」 右目とは異なる色が、僕の左目に彩られている。 「……虹彩異色症……か」 忌まわしき病気の名前を、僕はぼやく。 虹彩異色症。 生涯、治る事が不可能な病気の一つ。生まれつき、片目の色が違い、片目の視力がまったくない病気。 僕はそんな病気を患っている。かといって、今まで生きてきて困った事はない。
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