平凡な日常からエキサイティングな日常へと変わる日

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小学校からの付き合いで、男友達の中では一番仲がいい。 「……で、今日もやってんの?」 チラッと、一万円札をぴらぴらさせている女子生徒を見る。 そんな問いに、鷲は疲れたように頷いた。 「いいとこのご令嬢さまなのによ……、勉強が出来ないんだってよ。経済力とかは無駄にすげぇのに」 経済力がすごいのなら、勉強も出来るのでは?というツッコミはなしにしておく。 蜜谷香寺架奈(みつやこうじかな)。 このクラスの委員長にして、生徒会副会長。 有名な四大家系の一種、蜜谷香寺の長女でもある。 才色兼備とはほど遠いが、容姿は美人の部類に入る。 「鷲は蜜谷香寺さんに宿題見せに行かないの?見せてくれたら一万円だって言ってるけど……」 「俺が人に宿題見せれる程、頭いい奴だと思うか?」 「自分でそういう事言わない方がいいと思うんだけど……」 「自分の事を卑下にして語る。それが俺、神奈鷲だぜ!」 よーく分かってる。 「まぁ、それはともかく。今日、ちっとお前の家に寄っていいか?」 鷲の突然のお願いに、僕は濁したように答えた。 「いいけど……」 「けど?」 「鷲の好きそうなエロ本はないよ?」 「そうか。そりゃ残念……って、好きじゃねぇ!!」 僕の答えに、鷲は激怒した。 「そうだったっけ?」 「そうだ!」 「まぁ、いいや」 「よくない!せめて俺がエロ本好きだっていう誤解を解いてくれ!」 鷲の必死な剣幕に、僕は「分かった分かった」と誤解を解いた。 「僕の家に来るのはいいよ。両親もいないし。でも、今日は帰りが遅くなりそうなんだよね」 「何故だ?」 鷲が聞いてきたので、僕は「うん」頷いてから語り始めた。 「今日はボランティアで、図書室の本棚の修理。ちょうど古くなってんだって」 「ボランティア、ねぇ」 そう言って、鷲は僕を見て、「うんうん」と頷いた。 「な、何?」 「いや?お前にピッタシだなって。……まぁ、頑張れ」 ポンと肩を叩かれる。 「だもんでさ、僕の家に寄るなら妹の由香を訪ねてよ。今日は手芸部、帰り部なかったはずだし……、家に入れてくれると思うけど……、どうしてまた僕の家に――ああ、藍紗ちゃんとケンカしたのか」 「がはっ!」 ドンピシャ。僕の言った事は見事に当たり、鷲は派手にぶっ飛んだ。 「……何故……そう思った……?」 フラフラになりながら、鷲は僕の自席へとたどり着いた。
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