平凡な日常からエキサイティングな日常へと変わる日

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僕がそう言うと、蜜谷香寺さんは「そう……」と自分で納得していた。 そんな態度を不審に思い、僕は聞いてみる事にした。 「今日のボランティア、何かあるの?」 「んー……、無いことも無いんだけどさ。今日のボランティアに、私の家系、蜜谷香寺と並ぶ四大家系の一つ、高梨屋の人が参加するんだよね」 「高梨屋……?」 僕が聞くと、蜜谷香寺さんは頷く。 「高梨屋っていうと……あいつだろ?俺達と同学年で、この学園のアイドル的存在の女子生徒。んでもって、蜜谷香寺と同じ四大家系の内の一つ」 「え!?そんな人がこの学園にいたの?」 今知ったように聞くと、鷲は溜め息を吐いた。 「キサマはこの学園の何年生だ?2年生だよな?1年この学園に通ってて、奴の名を知らぬと申すのはこの口かぁぁぁ!!」 そう言うと、鷲は僕のほっぺたの左右を両手で掴み、思いっきり引っ張りだした。 「いふぁい!いふぁいいふぁい!いふぁいふぁら、ふぁなひへぇぇぇ!!」 痛い!痛い痛い!痛いから、離してぇぇぇ!! そう言ったつもりなのだが、両頬が引っ張られてるせいで鷲には上手く伝わらなかったであろう。 伝わらなくとも、鷲は「ったく」といいながら離してくれた。 「高梨屋朱里(たかなしやあかり)。この学園のアイドル的存在にして、有名なあの四大家系の一つ、高梨屋の次女。成績優秀、スポーツ万能。まさにカンペキ少女。身長161センチ、体重43キロ。スリーサイズは上から84、51、76。それが高梨屋朱里だ。覚えとけ」 言い終えて、「いい仕事したー」と額を腕で拭った。さ、さすが情報屋。有名な四大家系の事はともかく、スリーサイズまで知ってるとは……、神奈鷲、侮れん……! 「んで、その高梨屋がどうしたん?今日のボランティアに参加するんだったか?」 「え、ええ、そうなのだけれど……」 チラッと、こちらを一目見て、 「……まぁ、鳥羽君なら大丈夫か。でも、忠告はしておこうかしら」 「忠告?」 「ええ、忠告。私にならいいけど、必要以上に高梨屋朱里に関わろうとしないで。あいつ、変な力持ってるのよ」 変な力……。何だろう?なんか……こう……胸にくるものが……。 「だから、必要以上に関わっちゃ駄目だよ?」 蜜谷香寺さんの言葉に、僕は、 「う、うん」 頷くしかなくて……。 「……」 鷲は何も言わず、僕を見ていた。 そして、HRが始まるチャイムが鳴り響いた。
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