23人が本棚に入れています
本棚に追加
諜報
「‥‥それで?」
ウルフに問い掛ける。
「まぁ分かるだろうが、面倒見てやってくれや!こいつのこたぁバットと呼べや!」
バット、蝙蝠、コウモリという事か。
「バット‥です。よろしくお願いします。スネークさんとなら『ability square』も倒せそうです。」
ニコッと微笑むバット。
しかしスネークは表情ひとつ変えない。
「‥‥歳は?」
「えっ?‥‥えっと、今年で19です。」
「能力を入れられて何日だ?」
「2週間ちょっとです。‥‥えっとじゃあ僕からも質問です。スネークさんは何歳ですか。」
スネークは少しの間をおき答える。
「‥‥23。」
「えっ!?本当ですか?もっと若いと思ったのに。」
驚くバットから目を逸らし、ウルフでまた焦点を合わす。
「‥‥話はこれだけか?」
「おう!後は全員集めてからだぁ!酒場にいる奴らを呼んできてくれぃ!」
「‥‥わかった。」
スネークは部屋から出ようとして扉の前まで行き、そこで立ち止まりバットに目配せをする。
その意図を察知しバットがついて来る。
ウルフの部屋を出て、アジトのホールについた酒場への梯子を上る。
スネークとバットが酒場に入ると、スネークが来た時に比べ騒ぎが増し、踊り跳ねる奴らがいた。
スネークはその騒ぐ集団の中核で踊り狂うラットに近づく。
アルコールの匂いが鼻をつき、それだけで酔ってしまいそうだった。
「ラット、全員をホールに連れていけ。」
「なに?オッサン耳遠いから何にも聞こえないよ。」
こいつは、と唸るスネーク。
ラットはあからさまに聞き取っていた。
まぁこれはいつもの事だ。
「ホールに猫耳の美女がいるぞ。」
「オッサン今行くよ!!すぐ行くよぉ!」
そう言ってラットは酒場の全員を連れて行った。
ラット、つまり鼠の癖に猫耳が好きと言うのはあまり気にせずに。彼はオッサンだ。変態なのだ。
酒場にはスネークとバットが残った。
しかしスネークはホールに行こうとしなかった。
暫く沈黙が漂う。
業を煮やし、バットが口を開こうとした瞬間にスネークが口火を切る。
「お前は何の為に来た?」
「えっ?そ、それは『ability square』を倒す為で‥‥。」
「違うだろ。」
スネークはそう言うと眼を見開く。
最初のコメントを投稿しよう!