諜報

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その眼は人の目ではなかった。 黄色の瞳に猫のように細長い黒目が入っていた。 蛇眼。 その眼はいわゆるサーモグラフィーの機能を持った、蛇の能力がもたらした結果。 「‥‥人は嘘を付くと体温が上がる。‥‥‥ウルフの目を胡麻かせても俺は騙せない。」 「ちっ!厄介な能力ですね!」 さっきのような透き通る声は消え、ドスを効かせるバット。 「バレたならしょうがありません。貴方はここで始末します!」 そう言うと腰に付けたナイフを抜き、スネークへ突きを放った。 しかし勝負は一瞬でついた。 スネークはバットとほぼ同時に黒いコートの中からナイフを抜いた。 その後だった。 バットの繰り出した突きに腕を2回転巻き付け、バットの首筋にナイフを突き付けたのだ。 バットは硬直する。いや動けないのだ。 下手に動けば首筋のナイフで喉を掻き切られるからだ。 しかし、腕に巻き付いたスネークの腕だ。 一般人では考えられない事だ。 関節以外も曲がりしっかりとバットの腕を固定しているのだ。 これも蛇の能力。 蛇は骨が胴にしかなく、尾には骨がない。 そして体は強靭な筋肉でできていて獲物を締め上げ窒息させる程だ。 今バットの腕に巻き付いたスネークの腕は蛇でいう尾の部分なのだろう。 締め上げる力は尋常でない。 腕を動かそうにもびくともしない。 これでは反撃が出来ない。 いつもは普通の腕だった。 と、いう事は意思によってこの能力を使う事ができる訳だ。 「何の為にここへ来た‥‥。」 スネークは仏頂面を崩さずもう一度バットに聞いた。 「‥‥‥。」 バットは無言で俯く。 「‥‥ふん、言わずとも分かる。」 そう言うと、シュルシュルと音をたて締め付けていた腕をほどいた。 バットは少し驚く。がこれ以上スネークに挑んだところで意味がない、それが分かり腕をダラッと落とした。 「‥‥諜報。密告。総じてスパイ。」 「‥‥‥。」 全てバレていた。 バットはそう思ったが、スネークはその上をいく。 「‥‥能力を入れられ、赤地に俺たちの諜報をしろ、そう言われる。‥‥その報酬、それはコウモリの能力を取り除く事。」 「なっ!?」
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