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悪魔は俺を化け物にする。
目の前に真っ白な光が埋め尽くし、意識がその光に引き込まれ消える。
暗い。
寒い。
痛い!?
全身を駆け巡る激痛に吐き気がした。
目が覚めた瞬間にそれが全てを飲み込む。
「うあぁぁあぁあ!!!?」
悲痛な悲鳴が地下の檻から這い出て冷たい部屋を埋め尽くす。
志凪は体全体を這いずる激痛に破顔し、体を丸め疼くまる。
何がどうなっている!?
カツカツ――
足音が近づく。
志凪は怯える。
激痛に気が動転して、物事を上手く判断出来ない。
何故、檻に入れられているかも考えられない。
ただ足音に怯え、激痛に苦しむだけ。
足音の主が檻の前で足を止める。
「痛いのか。志凪君。‥‥いや実験体S。」
足音の主は悪魔だった。
不敵に笑い、あざ笑い、見下す。
「赤地‥‥社長‥‥。」
声を振り絞る。
「ふははっこの期に及んでまだ社長と呼ぶとは、君は本当にいい社員だね。」
「‥‥‥。」
「そんなに痛いのかい?まぁ無理もない。身体が人間である事をやめ化け物になろうとしてるんだからな!」
「‥‥どういう‥‥。」
「どういう意味か知りたいのか?‥‥まぁいいだろう。お前は実験体S、つまり実験体スネークだ。プロジェクトSの実験体となってもらったよ。蛇の能力を入れさせてもらったのさ。」
「っ!?‥‥蛇、!?」
「そうだ、人間兵器を造るプロジェクトでね。今の日本を変える夢のプロジェクトだよ。造った兵器で敵国を攻め、領土を広げるのさ。」
「‥‥‥。」
「兵器はいくらでも造れるしな。この国には材料が3億も転がっているんだ。」
材料、人。志凪は赤地を睨む。
「君はプロジェクトSの成功者だよ。よかったね、今までこのプロジェクトで何人の犠牲を払ったか覚えていないよ。」
「貴様!?‥‥それでも人間か!?」
「そうさ。‥‥君は人間じゃないけどな。ふははははっ!」
不敵な笑みがより濃くなる。
「待っていろよ。そのうち使ってやるから。」
「っ!?」
悪魔は立ち去った。
志凪は悪魔から人間という事実を奪われた。
悲しみより憎しみが心を埋める。
静かな地下に悲痛な歎きが響き渡る‥‥。
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