拝啓

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初めてあなたに手紙を書きます。 少し肌寒くなってきました カゼをひいていませんか? 寒いのが苦手なあなたが とても心配です。 秘密にしていたけど 冬は「嫌い」なんて あなたには嘘をついていました。 あなたに出会う前は 本当に嫌いだったんだよ? 寒くて すぐ鼻が赤くなるし 手が寒いけど 手袋はジャマなんです。 雪は帰れなくなるし これはひがみだけど… クリスマスのカップルなんて 見たくなかったんです。 でもね、 私は冬が大好きになりました。 私の赤くなる鼻を 笑ってこするあなたがいたから あなたのポケットの中で 冷たくなった手を握りあえたから あなたと見る雪は あまりに幻想的で ダイヤモンドのように見えたから 生まれて初めて 愛する人とメリークリスマス! なんて言いながら あなたと笑いあえたから だから私は 冬が大好きになりました。 あなたがいれば 白と黒だけの絵の具だって カラフルに見えました あなたは私のすべてでした。 今は目の前が 白黒の世界なんです。 なんてつまらない世界 でもね、思い出したんです あなたに出会う前は 毎日このモノクロの世界に いたような気がします。 あなたは私の色でした .
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